遺産分割協議書
遺産分割協議書とは ~遺産の分割はどうやるのか?
「遺産分割協議書の作成」
遺産は、法律で決められた「法定相続」で分ける方法もありますが、法定相続とは異なった割合で、相続人全員で協議をして遺産分割をすることとがほとんどです。
その際に、「遺産分割協議書」を作成します。
後々揉め事になったりしないよう、話し合いをした上で遺産分割協議書という書面で残しておくと同時に、登記申請や銀行手続などでも使用します。
「遺産分割協議書のポイント」
協議書作成前の準備をしっかりしましょう
相続人を確実に確定
被相続人の戸籍等を全て集め、戸籍上で確定します
遺産を全て調査
漏れに注意。メインの土地に面した道路の持分など、抜けてしまうことは良くあります。
相続人全員が合意し、署名・捺印(実印)する必要があります
法定相続人のうち、一人でも抜けていると無効となります。全員が一同に会して協議をするところまでは求められませんが、 必ず実印で鮮明に捺印し、自署で記名することが望ましいです。
記載方法に注意しましょう
- 被相続人の死亡日・本籍を記載します。
- 不動産は登記事項証明書通りに記載します。
- 預貯金は、銀行名・支店名・口座番号を記載します。(金額までは不要です)
「遺産の分け方を考える ~どうやればいいの?」
いざ、遺産の分割を考えようとしても、いったいどうやって考えたらいいか分からない・・・。そのような話は良く耳にします。
相続人の人間関係や、財産の額、財産の場所、税金も心配・・・様々な事情を考慮しなければなりません。
おひとりおひとり、様々な思いがあることかと思いますので、あくまで参考として一例をご紹介します。①相続税が発生しない場合
【ポイント1:相続税のない方】…配偶者の将来のことを考えましょう
生涯の生活費なども考えて、配偶者がもらう割合を多くしてはどうでしょうか。
特に女性の方は平均寿命も長いので、今後何かと費用が必要となる場面もあるかと思います。
ご自宅を奥様名義に全てしておけば、将来、施設等の入所やマンションへの引越しの希望が出た時に、ご自分で処分して、気兼ねなく資金に充てることもできます。
【ポイント2:相続税のない方】…家の相続は、そこに住んでいる方が相続すると、売却時に減税を受けられます。
ケースにもよりますが、不動産は住んでいる方が相続する場合が多いです。
不公平感が出ないよう、他の遺産(預貯金や株式等)で調整をしたり、代償金を支払う場合もあります。
将来その不動産を売却する場合も、居住者が売却すると、売却時にかかる税金(譲渡所得)の控除が受けられます。
【ポイント3:相続税のない方】…不動産を売却して、その売買代金を分割する方法もあります。
不動産の売却代金を分割する方法もあります。
その場合は、その旨を遺産分割協議にきちんと記載します。
(税務署にも相談すると安心です)
【ポイント4:相続税のない方】…土地は無理に共有にせず分筆する方法もあります
不動産を共有にしておくと、2次相続の発生や意見の相違などで、将来の処分などが難しくなることもあります。
分割協議の際に分筆しておいて、単有名義にしておく方法もあります。
(ただし、土地の形・周辺道路・その他の理由で土地の価値が変わってくることもあるので、必ず土地家屋調査士や不動産鑑定士等によくご相談する必要があります。)
②相続税が発生する場合
【ポイント1:相続税のある方】
配偶者の相続する割合については、一次相続だけでなく二次相続を通算して、有利・不利の判定をします。
【ポイント2:相続税のある方】
相続税対策は専門的な知識を要することが多いので、税理士にご相談すると安心です。
提携税理士、その他ご紹介いただいた税理士さんと連携して手続きを進めることもできます。
きちんと期限内に相続税の申告をして、控除を受ければ、基礎控除を超える場合でも相続税を支払わなくて良いことが結構あります。
「遺言と異なる遺産分割協議書も有効です」
相続人全員の同意があれば、遺言と異なる内容の遺産分割も可能です。(遺贈がない場合)
ただし遺言執行者がいる場合は、遺言執行者も交えて分割協議を成立させるべきとされています。
「遺産分割協議が整わないときは?」
相続人間で遺産分割協議がまとまらない、相続人の一人がどうしても反対しているなどの場合は、各相続人は家庭裁判所に「遺産分割調停の申立て」をすることが出来ます。
まずは調停裁判手続を申立て、調停が整わないときは裁判手続きに移行する形が一般的です。
「遺産分割協議の調停手続きとは?」
相続人全員が参加し、家庭裁判所の調停員とともに、事実確認や遺産の分け方を話し合います。
基本的には法律で決められた相続分での分け方となりますが、自分の取り分を減らしたり、他の相続人に譲ったりすることも可能です。
相続人全員が合意すれば成立します。
「遺産分割協議の裁判手続きとは?」
調停を重ねても合意が得られなかった場合は、手続が審判に移行します。
審判では、裁判官が遺産の分け方について法律に基づいた判断を示すことになるため、相続人の意向に沿う結果になるとは限らないようです。