相続 まず初めにすること
どのような手続きがいるの?
- 相続財産・債務の状況を調査します。
- 遺言書の有無を確認します。
- 相続人が誰かを確認します。
- 遺産の分割方法等を決め、名義変更や解約などが必要な手続きをします。
(相続登記のページはこちら) - その他所轄の役所や指定の機関で手続をします。
相続財産・債務の状況を調査します。
預貯金・不動産・株式・自動車等、どのような遺産があるか調査をします。
また、故人の借金などマイナスの遺産も相続の対象となりますので、調査を忘れてはなりません。
遺産を把握したうえで、今後の手続の進め方を検討します。
マイナスの遺産が多い場合は、家庭裁判所に相続放棄をすることもできます。
ただし故人の生前の債務を支払ったり、預貯金を下したりなど、やってしまうと放棄出来なくなる場合もあるので、十分注意が必要です。
遺言書の有無を確認します。
公正証書遺言や、自筆遺言があるか確認します。
自筆遺言がある場合は、開封時に家庭裁判所の検認を受ける必要があります。
適正な遺言書がある場合は、遺言書にしたがって手続を進めることができます。
遺言書で指定された分け方は、法定相続分より優先します。
相続人が誰かを確認します。
遺産を受け継ぐ人は、まずは法律で決まった「法定相続人」があげられます。
法定相続人とは、亡くなった方の配偶者と、子・孫・兄弟などになります。
亡くなった方の戸籍謄本等を集め、相続人を確定します。
遺産の分割方法等を決め、名義変更や解約などが必要な手続きをします。
遺産分割協議
遺言書がない場合、相続人全員で協議をして、遺産をどのように分けるか協議をします。
不動産の名義変更
故人名義の不動産は、法務局に相続登記をし、名義変更の必要があります。
預貯金・株式等の名義変更
遺言書や遺産分割協議によって相続人が確定したら、金融機関等で口座の名義を変更します。 不動産の名義変更と重複する必要書類も多いので、同時に集めると手間が省けます。
自動車の名義変更 ⇒ 陸運局支局にて手続
電話、公共料金等 ⇒ 電話会社、電力会社、水道局、ガス会社など
その他クレジットカード、運転免許証、パスポート、携帯電話等 ⇒各会社へ(必要応じて解約・清算など)
その他所轄の役所や指定の機関で手続をします。
主な手続きとして、次のようなものがあります。(故人の遺産や加入状況等によって、異なる場合があります。)
【葬儀後、なるべく早めに手続した方がよい届出等】
相続放棄(必要な方のみ):家庭裁判所 3か月以内
雇用保険(未支給基本手当等):ハローワーク
所得税準確定申告・納税(自営業の方等):税務署又は勤務先 4か月以内
相続税の申告、納税(必要な方のみ):税務署 10か月以内
生命保険(死亡保険金など):契約していた保険会社
【補助金や給付金、高額医療費払い戻しなどを受ける手続き】
国民健康保険(埋葬費):市区町村
国民年金(死亡一時金):市区町村
組合などの健康保険加入者の場合(埋葬料):健康保険組合、社会保険事務所
高額医療費の請求:健康保険組合、市区町村など
労災保険(場合により、埋葬費):労働基準監督署
【遺族年金・国民年金などを受給するための手続き】
国民年金(遺族基礎年金請求):市区町村
国民年金(寡婦年金請求):市区町村
厚生年金(遺族厚生年金請求):社会保険事務所
労災保険(遺族補償給付請求):労働基準監督署
期限のある手続 スケジュール
①相続放棄又は限定承認(家庭裁判所)3カ月以内
相続人になったことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てしなければなりません。
※相続放棄等をする必要があるかどうかについては、死亡後なるべく早く(少なくとも2か月以内くらいが望ましい)決定する必要があります。
②所得税(消費税)準確定申告、納税 4カ月以内
被相続人が、被相続人の確定申告を行う必要があります。これを準確定申告といいます。
相続が開始されたことを知った日の翌日から4ヶ月以内に税務署に提出します。
計算期間は、その年の1月1日から死亡日までです。
個人事業主である場合、または、不動産所得(不動産の賃貸)等の収入があり、翌年に確定申告の必要がある場合等に必要です。
③相続税の申告・納税 10カ月以内
相続税は、相続の発生を知った日の翌日から、10ヶ月以内に税務署に申告します。(申告の必要な方のみ)
この期限内に申告をすると、小規模宅地の特例などの控除を受けることもできます。
※遺産が基礎控除額以上であっても、きちんと期限内に申告をして控除を受けると、実際に相続税を支払う必要が無い場合も少なくありません。
④遺産の名義変更手続き
不動産・預貯金等の名義変更は、特に期限が法律で決まっている訳ではありません。
しかし被相続人死亡後時間が経過してしまうと、人の気持ちも変わっていきます。
お亡くなりになってあまり時間を置かず、遺産分割協議を行って、手続を完了させる方がよりスムーズに進みます。
誰にどれだけの相続分が?
遺産はどうやって分けるのか?~法定相続分でなくていい!~
遺言書がない場合、遺産は次の方法で分けることが出来ます。
1.相続人全員で「遺産分割協議」をして、自由な割合で分ける
※相続人全員で「遺産分割協議」をすれば、遺産を自由に分けることができます。
2.法律で決められた「法定相続の割合」で分ける
※相続財産について誰がどの割合で承継する権利があるのか、民法(第886条~895条等)には規定があります。
その割合を、「法定相続の割合」といいます。※1と2どちらの方法をとるかは、相続人が自由に決めることが出来ます。
具体的にどう違うの?
具体的に、1と2でどう異なってくるのでしょうか。 例えば、妻と子が相続人の場合で、相続財産に土地Aと土地Bがあったとします。
a.法定相続の割合で分ける場合
土地Aと土地B、両方とも2人の共有(妻50%子50%)となります。
b.下記のような遺産分割協議をした場合
- 土地Aを妻が相続するものとする
- 土地Bを子が相続するものとする
→土地A・土地B、共に一人ずつの所有となります。
公平に分けたい・相続人の間にいさかいがある・遺産分割でもめたくない、といった場合に(a)の方法をとることが多いようです。
また(b)の遺産分割協議の方法をとると、各相続人の財産状況を考慮したり(例:年老いた母の取得分を多くするなど)、税金を考慮したり、売却を考えて1人の所有にしたり等、臨機応変な対応をすることが出来ます。
実際、遺産分割協議をして相続分を決める方が、ほとんどです。
長い年月が経つと、共有者間の意見が揃わなくなる場合も、少なくないようです。
土地は特に個人名義にしておいた方が、後々になってスムーズに処分が出来ると言えるでしょう。
法定相続分の割合とは
相続財産について、民法では誰がその財産を受け継ぐ権利があるのか、その順位はどうなのかということが規定されています。 遺産分割協議をしない場合は、この法廷相続分で相続することになります。
a. 配偶者は常に相続人となります。
(配偶者がいない場合は、血族相続人のみでわけます。血族相続人の順位は(b)を参照。)
b. 配偶者とは別に、血族相続人が相続人になります。
血族相続人の順位としては
- 被相続人に子供がいる場合は子供のみ
(養子や婚姻外の認知した子も含む) - 子供がいない場合には親
- 子供も親もいない場合は兄弟姉妹
となります。
- 配偶者が全体の1/2もらう
- 子供は全体の1/2を人数で割ったものをもらう(注:子供間の割合は、非嫡出子(婚姻外の子供)は嫡出子(婚姻による子供)の半分となる。)
- 被相続人より先に死亡している子供がいるときは、その子供がもらうはずだった分が孫にいく
具体例1 配偶者と子供(又は孫)の場合
- 配偶者が全体の2/3もらう
- 父母は全体の1/3を分ける
- 父母が両方とも被相続人より先に死亡している場合は、祖父母が全体の1/3を分ける
具体例2 子供なし・配偶者と親の場合
- 配偶者が全体の3/4もらう
- 兄弟姉妹で財産の1/4を分ける
- 被相続人よりも先に亡くなっている兄弟がいる場合は、その兄弟の子供(つまり甥姪)にその兄弟がもらうはずだった分がいく
具体例3 子供なし・父母も先に死亡・配偶者と兄弟姉妹の場合
※法定相続分以外で分割しようとする場合は、遺産分割協議が必要になります。
遺産分割協議をすれば、法定相続分にとらわれる必要なく自由に割合を決めることができます。
相続に関するスケジュール
※手続には期限のあるものがあります。注意が必要です。
相続財産とは?
相続の対象となる遺産は、土地・建物・預貯金などのいわゆるプラス遺産と、故人の借金などマイナスの遺産が対象になります。 遺産分割の際は、漏れがないように調査することをお勧めします。
遺産の調査方法(一例です)
土地・建物
- 登記事項証明書を取得する。(法務局・司法書士)
- 固定資産税の納税通知書を見る。
- 不動産のある市区町村に名寄帳を取寄せる。
- 路線価を調査する。(国税庁HPなど)
預貯金
- 通帳の記帳を行う
- 死亡日の残高証明書を請求する(なお銀行に死亡を伝えると、すぐに口座が凍結します。)
専門家に依頼したいときは?
司法書士に依頼相談できること
- 不動産の名義変更登記
- 戸籍謄本等の代理取得(相続人の確定)
- 遺産分割協議書の作成
- 未成年の子がいるときの特別代理人選任
- 遺言書の検認 書類作成
- 相続放棄 書類作成
税理士に依頼相談できること
- 相続税の申告
- 相続税対策による遺産分割協議書作成(不動産の相続登記は司法書士)
弁護士に依頼相談できること
- 相続人間で争いがある場合調停による遺産分割の申立て
- 遺留分減殺請求の訴訟